
文部科学省補助事業「教材等研究・開発等」
真に勉学意欲の高い学生を選抜するためのツール開発
—カード式口頭日本語能力テスト —
本研究の目的は、選考段階において、真に勉学意欲の高い学生を確実に選抜するため、現地での日本語入学選抜試験において、口頭能力を簡便に測定できる「カード式口頭能力テスト」を開発することである。 「カード式口頭能力テスト」は、一枚につき一問の問題が書かれた数百枚のカードからなる。試験実施担当者が現地において、このカードを繰って口頭能力テストを行う。問いは学習者の母語で書かれており、受験者はそれを読んで、日本語で口頭で解答する。
勉学意欲の高い良質の学生確保は、日本語学校にとって喫緊の課題である。そのため、選考段階において日本語能力に関する試験を実施してきたが、とりわけ口頭能力の測定については、これまでの面接テストや電話による口頭テストなど従来の選考方式では、ある程度話す能力はあるのにたまたま問いが聞き取れなかったり、真面目に勉強してきたにもかかわらず、緊張して咄嗟の応答がうまくできなかったり等で適切に能力が測れない場合があった。学生の能力を公平に的確に、しかも、多大なコストをかけずに短時間で簡便に測ることができれば、その効果は選考段階に留まらない。また、国外での選抜時に口頭能力を日本語教員が測ることは稀で、学務職員が担うことが一般的である。選抜時において、真面目に努力を積んできた学生を正当に公平に、かつ、日本語教育が専門でない職員でも選抜できる口頭能力測定ツールを開発することは、学校の存立にも関わる重要課題である。
ここで言う「口頭能力」とは、日本語の調音・語彙・文法(シンタクスおよび語の用法)の知識および最低限の社会文化的知識を用いて、ごく基本的な課題処理を音声を用いて日本語で行いうる能力を指す。
1.学生の日本語口頭能力を、多大なコストをかけずに短時間で簡便に測ることができる。
2.現地の言語に堪能でない選考担当者や教員でない学務職員でも、簡単に口頭テストを実施できる。
3.口頭テスト実施者の主観に頼らず、結果を点数化できる。
4.日本語能力を正確に判定するためのツールではなく、日本語を使って、ごく基本的・日常的な課題をこなす能力があるかどうかを見ることを意図している。
中国語版と英語版の実施と改良を経て内容を充実させたうえで、韓国語版等の多言語化を図ること、さらに、学生の自習教材としても利用できるよう、カード式口頭テストの解答例を入れた音声CD教材を作成することが今後の課題である。