
文部科学省補助事業「教材等研究・開発等」
いきいきとした留学生活につながる学習者オートノミー育成の試み(2)
— “管理的指導”から“教育的援助”へ —
「管理的指導」を脱し、学習者主体のオートノマス・ラーニングを実現するための「教育的援助」の在り方を、教務と学務の連繋による全学的な取り組みにより明らかにする。
(1)ピア・リスニング
〈オートノミー育成上の成果と課題〉
○ ピア・リスニングという方法を、学生が実地にやってみることで、そのメリットとデメリットを知り、学習方法のひとつの選択肢とすることができた。
○ 一見「やる気がない」学生が、授業のやり方次第で見違えるような主体性を発揮することがわかった。自分でテープを操作し、タスクシートを選ぶといった単純なことでも、学習のコントロールが主体性を高める。
○ 学生からオートノマス・ラーニングの進め方に関する意見を聞く際、個々に時間をかけて聞いていくとそれぞれに面白い意見を持っているにもかかわらず、それを全体の場で端的に表明することが困難な場合がある。
〈教師にとっての成果と課題〉
○ 聴く力の低いグループがピア・リスニングに非常に肯定的な反応を示した一方で、もともとオートノマスで聴く力も高いグループが、教師とのインターアクションが減ることを理由に、ピア・リスニングに否定的な反応を示した。
○ 流動的な状況の中で、学生のニーズや希望を的確に授業のありように反映するには、担当教員間で、迅速かつ的確に、情報共有、共通認識の形成、意志統一を図る必要がある。教員間のコミュニケーションには課題を残した。
(2)学習の方法としてのポートフォリオ評価
○ 学生が学習のありようとして、ポートフォリオ評価という方法があるのだということを知ることができた。
○ しおりの記入方法がわかりやすいこと、授業の流れに沿った構成になっていること、時間内にその場で記入できることが重要であることがわかった。
(3)ポートフォリオ評価を使った漢字の自律学習
○ 漢字学習のポートフォリオ評価を通じて、それまで気づかなかった自分の漢字学習上の弱点を知り、自分の学習をメタ的に見ることができた学生がいた。
○ 漢字学習を自分で計画し、実行することで、学習を主体的に進めることができた学生がいた。
○ 具体的に学習の目標や方法、評価の方法などを決め、計画を立てたり見直したりする部分で、教師のきめこまかいサポートが鍵となることがわかった。
○ カンファレンスでは、いかに学習者に添っていけるか、教師がやらせたいようにではなく、学習者が今いるところから発想できるかが成否を分け、学習の継
続をも左右することがわかった。
○ 自分の学習をメタ的に把握することとそのツール(ジャーナル等)の利用が学生にとっては困難であり、そこに指導上の課題があることがわかった。
聴解や漢字学習といった具体的な学習において、学習者の学びを中心に据え、それをサポートすることについては、未熟ながらも少しずつ教師の理解が進み、力量も上がってきているが、学習の方法を学ぶメタ・ラーニングや、自分の学習をメタ的に把握することを促す部分では、十分な学びのサポートができたとは言いがたい。同様のことは教師自身が弱点とする側面であり、教師としての成長においてもネックとなっている可能性がある。今後、重点的に取り組みたい領域である。オートノミーのありようは人によって違う。いかに、ひとりひとりの学生に寄り添って、それを伸ばしていくかについては探求の途上にある。