コミュニカ学院 関西・神戸の日本語学校

平成14年度

文部科学省補助事業「教材等研究・開発等」
日本留学試験に対応した教材開発

研究の目的

本研究の目的は、平成14年度より既に実施されている「日本留学試験」に対応し得るアカデミック・ジャパニーズの能力を養うために有効な、良質の教材を確保することである。大学での学習研究活動を効果的に遂行し得るアカデミックな日本語の能力の基盤を作ることは、予備教育の一つの使命でもある。だが、既存の教材そのままでは、こうした目的に十分適うものが少なく、良質の教材の確保が焦眉の急であったことが、この研究を行う目的である。

研究の方法

この研究は当初、日本留学試験の公開用問題、試行試験の問題を分析してタイポロジーを作り、それに沿った教材開発を行う方向でスタートした。だが、日本留学試験は実施されてまだ間がなく、現に変化もしており今後もそれ自身の発展に伴って変化しうるものである。そのように過渡的なものを固定的に捉え、それに基づいた教材開発を行うことは得策ではないことが、実際に研究を進めていく中で明らかになってきた。

アカデミックな能力には、大きく分けて言語的な課題処理と認知的な課題処理の能力がある。この試験への対応で必要なのは、その二つの処理が同時に行われるようなタスクを設定した教材である。その意味で言えば、「日本留学試験」への対応は、既存の教材を使う中で十分に可能である。特別な教材を新規に作るのではなく従来使われてきた教材を見直し、新しい視点で生かすということである。この考え方は、量的にも質的にも十分な教材を速やかに確保したいという現実の要請に応える意味でも理にかなっている。

そこで、当初の方針を部分的に改め、昨年までに行った本校のシラバス再考の結果を受け、現行の様々な教材に現れたテクストの中で、上記の二つの課題を同時に処理するようなタスク設定を行い、それを既存教材の副教材の形にするという形で教材開発を進めていくこととした。ポイントは認知的及び言語的な処理が同時にかかわるタスクを、明確に焦点化された教師の側からの(あるいは教材それ自体による)積極的・意識的な働きかけの中で行うということである。

まとめ

教材開発の作業を進める中で、本校での教育にともにかかわる教員間に、アカデミックな課題処理の能力とは何か、また、それを養う教材や教室活動とはどのようなものかについて共通認識を築くことができた点は大きな収穫であった。それは、日々の教室活動の意味を問い直し、意識化・焦点化することにつながった。

できた教材には質的なばらつきがあり、改善の余地があるものも見られる。教材開発は、日々の教育活動の過程とともに進行するものであって、完成も終わりもない。今回の作業を通じて得られた共通認識を拠り所に、さらに良質の教材の作成と改善を今後も続けていきたい。

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